ヘミシンクの脳波誘導の中心技術であるバイノーラルビートについて、詳しく説明します。実際に音で聞いて、バイノーラルビートが生み出す「うなり音」を体験しましょう。
同時にモノラルビートとの違いも聞き分けてみましょう。
バイノーラルビートとは
脳波には、知覚する周波数に同調するという性質があります。
この「脳波周波数同調現象」は、1950年代に、光の点滅のリズムに脳波が同調することが発見されたことから始まっています。
次に音のリズムにも、脳波が同調することが明らかになりました。
前者はマインドスパのようなブレインマシンに、後者はBrain Sound Quest というCDに脳波誘導のために用いられています。
これに対して、バイノーラルビートは1973年ジェラルド・オースター博士によって提唱されました。
バイノーラルビートでは、左右の耳から違った周波数の音を聞かせます。すると、左右の耳に聞かせた音の周波数の差に相当する「うなり音」が生じます。
この「うなり音」に脳波を同調させようというものです。
たとえば、上の図のように、右耳に98Hz、左耳に102Hzの音を聞かせると、4Hzのうなり音が生じます。このうなり音を聞いていると、次第に脳波は4Hzシータ波になってくるというわけです。
バイノーラルビートを聞いてみよう
実際にバイノーラルビートを聞いてみましょう。
聞かせ方は、ヘミシンクのゲートウェイ・エクスペリエンスにならってみました。
ただし、周波数はヘミシンクが100Hz-104Hzに対して、ここでは 98Hz-102Hzとしています。
また、かぶせてあるピンクノイズは、パブリックドメインのものを使用していますので、ヘミシンクのものに比べると、うるさい感じがありますが、ご容赦願います。
では、ヘッドホン若しくはイヤホンをして聞いてください。
先ず、右耳から音を流します。
均質で安定した揺らぎのない音です。
それでは、今度は左耳から少しだけ違う周波数の音を流します。
こちらも、均質で安定した揺らぎのない音です。
それでは、左右の耳から同時に流してみましょう。
上の2つと同じ音ですが、同時に流すと、波のような揺らぎ、ビブラートが聞こえてくるはずです。
これが、バイノーラルビートです。
バイノーラル・ビートとモノラルビート
バイノーラルビートを提唱したオスター博士は、モノラルビートという方式も提唱しています。
モノラルビートは、バイノーラルビートを1つのチャンネルに合成したものです。
では、実際に聞き比べてみましょう。
上のバイノーラルビートのサウンドをモノラルビートにしています。
聞き比べると、うなり音の振幅が、バイノーラルビートより大きいことに気づくと思います。この結果、モノラルビートの方が脳波誘導効果は高いのです。
(脳波計で測定すると、モノラルビートがバイノーラルビートより3~5倍は誘導効果が高いことがわかります)
実際にお聞き頂いた音を図にすると次のようになります。
また、モノラルビートは、名前の通りモノラルでも効果を発揮しますので、わざわざヘッドホンで聞く必要はありません。
ただし、効果が高い=少し聞きづらいというデメリットがあることも事実です。
そのため、モノラルビートを他の手法と組み合わせるなどの工夫がされています。
↓ ↓
モノラルビートを使った脳波誘導CD
Brain Sound Quest
まとめ
バイノーラルビートは、右と左から違う周波数の音を出して「うなり音」を生じさせる脳波誘導手法。
モノラルビートに比べて、聞きやすいが脳波誘導効果は小さい。
参考文献:Auditory beats in the brain.Sci Am. 1973 Oct;229(4):94-102.