頭痛や生理痛、関節痛など、なにがしかの痛みを抱えて悩んでいる人は非常に多いです。
痛みに対しては、薬に頼るのが一般的ですが、使い過ぎるとだんだん効かなくなったり、別の痛みの原因となってしまって、新たな問題が起こることもありますので、なるべく薬は飲みたくないと考えている人も沢山いることでしょう
でも、我慢するのは辛いものです。
例えば、催眠というアプローチがあります。
あるメタ分析の研究では、催眠は痛みの軽減やコントロールに75%が有効だった、そうです。(注1)
脳波誘導の分野でも、後に述べるように、痛みを小さくするための多くの研究があります。ヘミシンクでも『ペイン・マネジメント(Pain Management)痛みのコントロール 』というCDを出しています。
ヘミシンク『ペイン・マネジメント』の内容
ヘミシンク『ペイン・マネジメント』は、日本語ガイダンス入りのマインドフードCDです。
収録時間:44分
内容は、大きく2つに分かれます。
1)前半のリラックスから眠りに入るまでの部分
2)後半の痛みのサインを和らげるメッセージを受け入れる部分
です。
リラックスから眠りに入るまで
先ず、1から10まで数を数えます。
数に心を向ければ痛みを忘れることが出来るはずです。
数が大きくなれば大きくなるほど、あなたはリラックスしていきます。
さらに、11から20まで数えます。
あなたは、益々リラックスしていき、20になるころには安らかに眠りに入ってしまいます。
痛みのサインを和らげるメッセージ
すっかりリラックスしたところで、痛みのコントロールするためのメッセージが流れます。
主な内容は
・数字を思い浮かべることでリラックスすること
・神経の歪みを取り除くこと
・身体・精神・感情の調和がとれ、万全の調子を取り戻すこと
・「痛みのサインを和らげるテクニック」を習得すること、などです。
同じメッセージが数度繰り返し流れます。
*「痛みのサインを和らげるテクニック」についてはネタバレになってしまいますので、ここでは割愛します。
ヘミシンク『ペイン・マネジメント』の周波数
ヘミシンク『ペイン・マネジメント』CDに含まれる周波数を解析してみました。
1)前半のリラックスから眠りに入るまでの部分
100Hz周辺で、2Hzのデルタ波に導くバイノーラルビート(左 101Hz、右 99Hz)が流れます。
50Hz周辺でも、1Hz以下に導くバイノーラルビートが見られますが、実際問題としては、聞いている人は対応できないと思われます。
2)後半の痛みのサインを和らげるメッセージを受け入れる部分
2つのバイノーラルビートが見られます。
1つは、175Hz周辺で4Hzのシータ波に導くバイノーラルビート
もう1つは、262Hz周辺で、同じく4Hzのシータ波に導くバイノーラルビートです。
ペイン・コントロールのための周波数 他の研究では?
こういった痛みのコントロールのために、どのような周波数が有効かという研究は、いくつもなされているようです。
たとえば、
1)330Hzの周波数と組み合わせて、3.0Hzの脳波にすることで、緊張性頭痛が緩和した。
偏頭痛や副鼻腔炎からくる頭痛には効果が見られなかった
2)5Hzの脳波(シータ波)にすることで、βエンドルフィン(鎮痛作用や幸福感を与える作用がある神経伝達物質)が10-50%増加した。結果、痛みが緩和した。
3)MIDIで音階のF#3からA3まで1音ずつ上げていくことが、ペインキラーとなる?
(F#3=約185Hz、G3=約196Hz、G#3=約208Hz、A3=220Hz)
4)低音(95Hz)と高音(3040Hz)の組み合わせが痛みを取るのに有効?など
です。
ただ、これらの研究内容のいずれも、ヘミシンク『ペイン・マネジメント』CDに含まれている周波数とは一致していないようです。
『ペイン・マネジメント』の感想
正直言って、私は頭痛持ちでもないので、具体的に痛みを取る効果があるかは試せていません。
しかし、次の3点を指摘しておきたいと思います。
1)求められるリラックスには習熟が必要
先ず、含まれているヘミシンク周波数でリラックスするのは、初心者では難しいです。
求められる程度のリラックスを得るには、数を数えるエクササイズと組み合わせることが必要ですが、これも何度も繰り返しやってみないと難しいと思われます。
2)眠っている人にメッセージ効果はあるのか
リラックスの部分では、眠ってしまうようにメッセージが流れます。
しかし、本当に眠ってしまった場合は、後半に流れてくる痛みのコントロールのためのメッセージが効果があるのか、疑問があります。
そもそも、人は眠っているときにメッセージを聞いているのでしょうか?
また、メッセージ自体が、表現がまどろこしくて、起きているときさえ、なにを言っているのかわからない部分があるのだから、眠っていれば一層伝わらないであろうようにも思えます。
いずれにしろ、最初は起きているときにCDを全部聞いて、メッセージの内容を十分理解しておく必要がありそうです
3)周波数の疑問
上に述べているように、ヘミシンク『ペイン・マネジメント』CDに含まれている周波数とペインコントロールに関するいろいろな研究で発表されている周波数とは一致しません。
今後は、このサイトで、いろいろなペインコントロールに関する周波数の音源を試作して、ご希望の方に(もちろん無償で)試して頂けるようにしたいと思っています。
注1)出典:Montgomery, G. H., DuHamel, K. N., & Redd, W. H. (2000). A meta-analysis of hypnotically induced analgesia: how effective is hypnosis? International Journal of Clinical and Experimental Hypnosis, Vol. 48, pp. 138-153.